秋晴れの土曜日。
天気予報を見たら、富士山がきれいに見えそうな一日だった。
前回の栃木では乗り継ぎで散々な目にあったけど、懲りずにまた輪行だ。
今回の舞台は富士山の周り。
富士山駅をスタートして、山梨県側から静岡県側の足柄駅まで抜ける。
今回のルート
草加駅→新越谷駅(徒歩)南越谷駅→西国分寺駅→立川駅→大月駅→富士山駅→(自転車)→山崎家うどん→森の中の水族館(富士湧水の里水族館)→森の中の道→山中湖→(道を間違える)→あしがら温泉→足柄駅→国府津駅→上野駅→草加駅
コースプロフィール


走行距離38.6km、獲得標高371m、下降772m(記録は富士山駅〜あしがら温泉まで)。
序盤に標高1,000m超までじわじわ登って、後半は400m付近まで一気に下る。
登りより下りの方が倍以上多いので、数字ほどきつくはない。
ちなみに最高速度は52.3km/h。
ブロンプトンで出すと結構怖い。
草加から富士山駅へ、そしてスタート
草加駅を出発、8:37。
東武スカイツリーラインで新越谷へ行き、南越谷からJR武蔵野線で西国分寺、中央線に乗り換えて立川、大月へ。
大月からは富士急行線に乗り換える。
乗り換え4回、3時間20分の長旅だ。
前回の栃木のように特急を狙って失敗することもなく、今回は素直に鈍行を乗り継いだ。
富士山駅に到着、11:57。
5分後の12:02、走り出す。

駅名からしてもう富士山だ。
観光客で賑わう駅前でブロンプトンを広げ、記念撮影をしてから走り出す。
山崎家うどん──味はともかく、コスパとボリュームで殴ってくる吉田のうどん
富士吉田に来たら、まずは吉田のうどんだ。
駅から少し走ったところにある山崎家うどんへ。

紺色ののれんに「うどん」「味自慢」の文字。
味自慢と書いてあるからには期待してしまう。

どーん。
頼んだのは焼肉定食900円と、肉うどん600円。
周りのお客さんを見ると、みんなうどんが付いていた。
吉田のうどんの店なんだから、うどんを頼まないと始まらない。
そう思って肉うどんを追加したら……定食自体にうどんが付いていた。
みんなが食べていたうどんは、定食のうどんだったのだ。
結果、ダブルうどん。
ご飯、ミニうどん、焼肉、マヨネーズのかかった千切りキャベツ、たくあん、そして大きな丼の肉うどん。
お盆からはみ出しそうなボリュームだ。
味は……正直に言うと、ともかくとして。
吉田のうどん特有の硬くてコシの強い麺に、茹でキャベツ。
これはこれで「吉田のうどんを食べている」という実感はある。
でも、この店の真価はそこじゃない。
これだけ並んで合計1,500円。
定食だけなら900円でこの量だ。
コスパとボリュームで真正面から殴ってくるタイプのお店だ。
これから富士山の麓を登る身としては、ありがたいエネルギー補給になった。
森の中の水族館──420円でこのユーモアは反則
お腹を満たして、次は忍野村にある「森の中の水族館。」こと山梨県立富士湧水の里水族館へ。
到着、13:30頃。

名前の通り、木々に囲まれた中に建っている。
木のルーバーとガラスのモダンな建物で、アプローチからもう気持ちがいい。

入館料は大人420円。
この日は土曜日だったので、小・中・高校生は無料の貼り紙があった。
(公式サイトでも小中学生は毎週土曜日無料となっている)
当日は再入場もできる。

富士の湧水を使った大水槽には、ニジマスやアルビノのマスなどがたくさん泳いでいる。
水がとにかく澄んでいて、さすが湧水の里だ。
ただ、この水族館の本当の見どころは魚だけじゃなかった。
「なんでも飼育員に聞いてみよう!!」という質問コーナーだ。

質問(25歳・男)
「後輩の一人がまったく話を聞かない子がいるのですがどうしたらいいですかね? 魚もいうこと聞かない子とかいますか?」
回答
「魚は基本的に言うことを聞きません。その後輩も魚だと思えばイライラしなくなると思います。」
──後輩に慕われたい飼育スタッフより
声を出して笑ってしまった。
回答者の署名までちゃんと面白い。

質問(もうすぐ17歳)
「彼氏できません。どうしたら彼氏ができますか? 一途で車もっててお金持ちと付き合いたいです…あとイケメン」
回答
「まずは落ち着きましょう。気持ちはよく分かりますが一旦冷静に。オイカワやタナゴなどの淡水魚はオスがメスにアピールするために自分の色をキレイな色に変えることがあります。なので、理想を追いかけすぎず自分を磨いていればきっと良い出会いがあるでしょう。がんばってください!」
ちゃんと魚の生態に絡めて、ちゃんと人生相談に答えている。
飼育員さん、忙しいだろうにこの熱量。

極めつけは「仮想すし処 湧水」。
暖簾のかかった寿司屋の店構えに、ホンモロコやニホンウナギが泳ぐ水槽。
食べられないのに寿司屋。
こういう遊び心、大好きだ。
420円でこの満足度。
低価格なのにユーモアがあって、とても満足度の高い水族館だった。
小さい子ども連れも多かったけど、大人ひとりでも十分楽しめる。
きれいな森を抜けたら、広大な景色に富士山
水族館を出て、山中湖方面へ。

まっすぐ伸びる道の両側に、背の高い木々。
木漏れ日がまだらに落ちる、トンネルのような森の道だ。
歩道も広くて、ブロンプトンでのんびり走るにはちょうどいい。
空気がひんやりして気持ちいい。
そして森を抜けた瞬間。

視界が一気に開けて、広大な景色の向こうに富士山がどーんと現れた。
思わず自転車を止める。
富士山駅からずっと近くにいたはずなのに、こうして真正面から全身を見せられると、改めて感動してしまう。
これを見るために来たんだな、と思った。
山中湖を経由して三国峠へ……のはずが
富士山を背に、山中湖へ。
14:25頃。

湖面がキラキラしていて、白鳥ボートがぷかぷか浮かんでいる。
ここから三国峠を越えて、峠からの富士山と山中湖を眺める予定だった。
……だった。
山中湖にぶつかったら、左回りで湖畔を進まないといけなかった。
それなのに、なぜか右回りに進んでしまった。
湖沿いの景色が気持ちよくて、何の疑いも持たずにペダルを回していた。
気づいたら、三国峠とは違う道を下っていた。
下りがやたら気持ちいいなと思っていたら、それもそのはず。
最高速度52.3km/hを出したのは、この下りだ。
気づいた時にはもう引き返す気力が残らないほど下っていて、三国峠は諦めることにした。
これも流れだ。
前回の栃木で学んだじゃないか。
流れが悪い時は、足掻かずに身を任せた方がいい。
そして身を任せた先に、あしがら温泉があった。
あしがら温泉──露天風呂から富士山が見える最高の湯
あしがら温泉に到着、15:40頃。

小山町の「町民いこいの家 あしがら温泉」。
予定にはなかったけど、ここまで来たら入らない理由がない。

入館料は3時間まで大人900円。
タオルのレンタルはなく、販売のみ(フェイスタオル350円)なので、タオルは持参した方がいい。
そして露天風呂。
湯船に浸かって顔を上げると、目の前に富士山。
道を間違えて三国峠に行けなかったことなんて、どうでもよくなった。
むしろ間違えてよかったとすら思える。
露天風呂から富士山が見える、最高の温泉だった。

湯上がりに外へ出ると、夕方の光が富士山の斜面を染めていた。
昼から何度も見てきた富士山だけど、時間によって表情がまったく違う。
足柄駅で迎えてくれたのは金太郎だった
温泉から下って足柄駅へ。
到着、17:10頃。

駅前で迎えてくれたのは、まさかりを担いだ金太郎とクマだった。
足柄山の金太郎。
説明板によると、小山町は金太郎(坂田公時)生誕の地とされていて、この像は令和4年に設置されたものらしい。
クマにまたがるのではなく、隣に寄り添っているのがなんだか優しい。
あしがら温泉の看板にも金太郎とクマが描かれていたし、ここは本当に金太郎の町なんだな。
温泉までの走行距離は38.6km。
吉田のうどんで腹を満たし、水族館で笑い、森を抜けて富士山に感動し、道を間違えて温泉で癒やされ、最後は金太郎に迎えられた。
予定通りにはいかなかったけど、予定通りにいかなかったからこそ出会えたものばかりの一日だった。
駅に着いてすぐ、17:16発のJR御殿場線に乗って国府津へ。
国府津からは上野東京ラインで上野まで乗り換えなしで行き、上野から日比谷線で草加へ。
ここでひとつ落とし穴があった。
足柄駅ではSuicaで入場したのだが、御殿場線はJR東海のTOICAエリア。
国府津から先の首都圏Suicaエリアとはまたいで使えない。
上野に着いて、いつも通り改札にタッチ。
……ピンポーン。
扉が閉まって、改札を抜けられない。
遊び疲れた体には、駅員さんのいる窓口まで行くのすら億劫だった。
結局、窓口で足柄〜上野の2,050円を精算するはめになった。
御殿場線から東海道線方面へ乗り継ぐ人は、国府津で一度改札を出るか、きっぷを買っておくのが安心だ。
草加駅に着いたのは20:16。
温泉で温まった体に、電車の揺れがちょうどいい。
三国峠は、また今度。
さぁ、次はどこに行こうか。
実用情報まとめ(アクセス・料金・注意点)
- 山崎家うどん:山梨県富士吉田市中曽根2-12-34。富士山駅から徒歩約15分。定休日は木曜日。営業時間は昼のみ(情報源により11:00〜13:45/〜14:30と差があるため、事前確認推奨)
- 森の中の水族館。(山梨県立富士湧水の里水族館):山梨県南都留郡忍野村忍草3098-1。入館料 大人420円、小中学生200円(毎週土曜日は小中学生無料)、幼児無料。開館時間 10〜6月 9:00〜17:00/7〜9月 9:00〜18:00。休館日 火曜日(祝日の場合は翌日)、7/21〜8/31は無休。当日再入場可。館内はストロボ撮影禁止
- あしがら温泉(小山町町民いこいの家):入館料(3時間まで)一般 大人900円・子ども450円、小山町・御殿場市・裾野市在住 大人600円・子ども300円。3時間を超えると1時間ごとに100円追加。営業時間 10:00〜22:00(最終受付21:00)。定休日 毎週火曜日(祝日の場合は翌日)。タオルはレンタルなし・販売のみ(フェイスタオル350円)。キャッシュレス決済対応(クレジット・PayPay・交通系など)
- 足柄駅(JR御殿場線):駅前に金太郎とクマの像(令和4年設置)
- 行きの電車:草加→(東武スカイツリーライン)→新越谷〜(徒歩5分)〜南越谷→(JR武蔵野線)→西国分寺→(JR中央線)→立川→(JR中央線)→大月→(富士急行線)→富士山。乗換4回・約3時間20分・IC運賃2,999円(草加〜新越谷178円+南越谷〜大月1,782円+大月〜富士山1,039円)
- 帰りの電車:足柄→(JR御殿場線)→国府津→(JR上野東京ライン)→上野→(東京メトロ日比谷線・東武スカイツリーライン直通)→草加。乗換2回・約3時間・運賃2,489円(足柄〜上野2,050円+上野〜草加439円)。御殿場線(TOICAエリア)と首都圏Suicaエリアはまたいで使えないため、ICで乗り通すと到着駅の窓口で精算になる(今回は上野で精算)
- 自転車コース:走行38.6km、獲得標高371m、下降772m、移動時間2時間4分。後半は長い下りが続くので、ブレーキとスピードには注意
参考:森の中の水族館。公式サイト(入館料・開館時間)/あしがら温泉 ご利用案内/山崎家うどん(食べログ)/御殿場線のIC「エリアまたぎ」について(タウンニュース)


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