番外編⑨ ブロンプトンのフロントバッグ沼

番外編

前回は、輪行袋の選び方について書いた。
今回は、ブロンプトンのフロントバッグについて書いてみたい。

ブロンプトンには、フレーム前部に専用のキャリアブロックが付いていて、そこにワンタッチで装着できるバッグが数多く販売されている。
しかもこの仕組みは優秀で、一部の折りたたみ自転車にも流用できるようにすることが可能だ。

ロードバイクに乗っていた頃の自分なら、きっとこう思っていたはずだ。

「バッグ? 本当に必要?」

実際、絶対に必要なわけではない。
近所を少し走るだけならいらないし、寄り道も休憩もせず、ストイックに走り続けるスタイルならなくても困らない。

でも、もしブロンプトンでゆるポタを楽しみたいなら、フロントバッグはあったほうがいい。
むしろ、あることで旅の快適さがかなり変わってくる。

今回は、その理由と、自分がフロントバッグ選びで見事にハマった「沼」について書いていきたい。

ゆるポタ輪行旅には、持ち物が意外と多い

番外編①でも書いたように、ブロンプトンでゆるポタ輪行の日帰り旅をするとなると、それなりに持ち歩く物がある。

番外編①

ブロンプトンで日帰り輪行旅|最低限の持ち物はこれだけ

メッセンジャーバッグ23Lに何をどう入れるか。輪行袋・ポンチョ・パンク修理キット・鍵まで、ゆるポタ輪行旅の初期装備を備忘録としてまとめました。

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輪行袋、ポンチョ、財布、モバイルバッテリー、パンク修理キット、チェーンなど。
ひとつひとつは大したことがなくても、まとめるとそれなりの量になる。

そして、それらをどう持ち運ぶかを考え始めた瞬間から、フロントバッグ選びは一気に難しくなる。

旅慣れた人ほど荷物が少なくなる、という話がある。
必要最低限の荷物だけを小さなバッグに詰めて、身軽に旅を楽しむ。そういうスタイルにはやはり憧れる。

自分も当然、そうありたい。
だが、現実はそんなに単純ではなかった。

最初に選んだのは、大容量のMETRO MESSENGER BAG 23L

自分が最初に買ったのは、BROMPTON純正のMETRO MESSENGER BAG 23Lだった。

かなり大きめのバッグで、日帰りどころか一泊二日くらいまでなら十分対応できるサイズ感だ。
なぜこれを選んだのかというと、フロントバッグは決して安くないからだ。

どうせ買うなら、後で買い直さずに済むものがいい。
そのうち一泊二日の旅もしてみたい。
だったら最初から、余裕のある大きさを選んでおいたほうがいいだろう。そんな考えだった。

買った当初はかなり満足していた。
「これ以上ない選択をした」と本気で思っていたくらいだ。

容量は十分だし、いろいろ詰め込める安心感もある。
最初のひとつとしては、かなり正解だったと思う。

でも、自分の旅スタイルは“歩く”ことが多かった

ところが、使っていくうちに気づいたことがある。
自分のゆるポタスタイルは、旅先で自転車を駐輪して、観光地をかなり歩き回るスタイルだったのだ。

そうなると、メッセンジャーバッグは少しつらい。
自転車に付けている間はいい。問題は外して持ち歩く時だ。

歩き回るなら、やっぱりリュックのほうが圧倒的に楽だ。
両手が空くし、重さも分散される。観光中の快適さが違う。

実は、キャンプで使っていたカリマーのリュックを持っていたので、「これを使えばいいのでは」と思った。

ただ、ここで昔の苦い経験がよみがえった。

背負って走るつらさは、過去に痛感していた

昔、マウンテンバイクで「セルフディスカバリー王滝100km」というイベントに出たことがある。

その時はキャメルバッグに水を2L入れて、さらに補給食やパンク修理キットなど必要な物もリュックに詰めて背負って走った。

最初はよかった。
でも、時間が経つにつれて、背中の重みがじわじわと体力を奪っていく。

「何かを背負って自転車に乗るのって、こんなにしんどいのか」

その時、初めて身をもって理解した。
だからこそ、ランドナーのような旅自転車が、自転車側に荷物を積んで人間は身軽に走る、という考え方にもすごく納得できた。

そんな経験があるからこそ、4kg近い荷物を背負ったまま旅をすることには強い抵抗があった。

小型フロントバッグ+リュックという作戦

そこで考えた。

重い物――たとえばチェーン、パンク修理キット、モバイルバッテリーのようなものは小さなフロントバッグに入れる。
一方で、軽いポンチョや輪行袋、財布などはリュックに入れる。

これなら、背負う荷物は軽くなるし、自転車に乗る時の負担もかなり減るのではないか。

そのために買ったのが、BROMPTON ZIP CASE MEDIUM 3Lだった。

このバッグには、チェーン2個とパンク修理キット、モバイルバッテリーを入れてもまだ少し余裕があった。
必要最低限の重い物を前に載せるには、ちょうどいいサイズだった。

第16話の知多半島ライドから、この小型フロントバッグ+リュックのスタイルを実際に試してみることにした。

軽いリュックスタイルは、確かに快適だった

結論から言えば、リュックスタイルは、背負う荷物が軽ければかなり快適だった。

旅先で自転車を降りたあとも身軽に動けるし、観光地を歩き回るにはやはり便利だ。
リュックの快適さは間違いない。

輪行の時も、工夫すれば問題はなかった。
フロントバッグは付けたままだと輪行袋に入らないので外す必要があるが、外したバッグをリュックの中にしまえばいい。

使っていたカリマーのリュックには、その3Lのフロントバッグもヘルメットも余裕で入るスペースがあった。
そのおかげで、輪行時もかなり身軽に動くことができた。

この時は本気で思った。

「これは最適解なのでは?」

でも、最適解だと思ったスタイルにも不満が出てきた

ところが、第16話、第17話、第18話とこのスタイルを続けてみるうちに、別の不満が出てきた。

それは、バッグが二つに分かれていること自体が面倒だということだ。

機能的には悪くない。
理屈としても合っている。
でも、実際に使い続けると、荷物が二か所に分かれていることがじわじわと面倒に感じてくる。

自分は極度の面倒くさがりなので、この「ちょっとした手間」が思った以上に効いてしまった。

だったら、リュックとしても使えるフロントバッグならどうなのだろう、とも考えた。
たとえばCHROME VERSATILE BACKPACK 2.0のように、リュック兼フロントバッグとして使える製品もある。

ただ、そこにも気になる点があった。
チェストストラップが付いていないのだ。

これは人によるのだろうけど、自分のような撫で肩にはかなり大きな問題だった。
背負い心地の不安は無視できない。

結局、METRO MESSENGER BAG 23Lに戻ってきた

そんなふうにいろいろ試した結果、結局またMETRO MESSENGER BAG 23Lに戻ってきた。

そして、使えば使うほど、このバッグは本当によく考えられていると感じるようになった。

まず、バッグを自転車に装着したままでも、飲み物を取り出しやすい位置に収納できる。
これが地味に便利だ。

反対側のポケットにはモバイルバッテリーを入れておけば、スマホのナビを使いながら充電もできる。
実際に走る場面をよく考えて作られているのが伝わってくる。

さらに、キャリアブロックから外してメッセンジャーバッグとして使う時も、ショルダーベルトの長さをワンタッチで調整できる。
こういう細かいところが本当に使いやすい。

もちろん、少し大きいとは思う。
でも、そのぶん対応力が高い。
日帰りにも使えるし、ちょっと荷物が増えても困らない。
自分にとっては、やはり万能なバッグだと感じている。

それでもZIP CASE MEDIUM 3Lは無駄ではなかった

とはいえ、ZIP CASE MEDIUM 3Lも買ってよかったと思っている。

ちょい乗りの時にはちょうどいいし、旅先で登山や散策など、自転車を降りて長く歩くことが想定される場合には、リュックスタイルとの組み合わせがやはり便利だ。

結局のところ、どちらか一方が完全に正解というわけではない。
用途によって向き不向きがあるだけだ。

だから今後は、その時の旅のスタイルに応じて使い分けていきたいと思っている。

だからブロンプトンのフロントバッグは“沼”になる

ブロンプトンには、この他にもさまざまな種類のバッグがある。

もし自分のスタイルにぴったり合う唯一無二のバッグが最初から見つかれば、こんなふうに悩むことはないのかもしれない。
でも実際には、用途ごとに「こっちも良さそう」「あっちも便利そう」と思えてしまう。

日帰り向きの小型バッグ。
旅向きの大容量バッグ。
リュックと組み合わせやすいもの。
外した後の持ち歩きやすさに優れたもの。

そうやって考え始めると、何個か欲しくなってしまう。
これがまさに、フロントバッグの「沼」だ。

でも、この沼は嫌な沼ではない。
むしろかなり楽しい。

自分の旅のスタイルを考えながら、あれこれ試して、失敗して、また戻ってくる。
そういう時間も含めて、ブロンプトンの楽しさなのだと思う。

みんなもぜひ、自分なりのフロントバッグ沼を思う存分楽しんでほしい。

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