第三話 ブロンプトンを手に入れた日

STORY

中古サイトで一目惚れした

BROMPTON 。

勢いで買ってしまった。

本当にこれで良かったのか?

緊張とワクワクをひとまとめにしたような気持ちで、

予約した日がやってきた。

■ お店までのラストライド

9年間イベントで日本各地一緒に回ったロードバイク。

最後にしっかりとメンテナンスをして、お店へと15km程の短い最後のライドを楽しんだ。

風が気持ちいい!

緩やかな登り勾配の道も思い通りにレスポンス良く軽やかに走る。

なんだか寂しくなってきた⸻

あっという間にお店に着いた。

店に入ると、スタッフさんが穏やかに迎えてくれた。

「まず査定しますね」

世間話をしながら手際よく査定をしていく。

いざ手放すとなると思うと目頭が熱くなってきた。

スタッフさんは勘付いたのか

「並んでる自転車みてください。買い取らせて頂いた自転車はみんなここまで綺麗にして新しいオーナーに引き継がれます。だから安心してください」

お店に並んだ自転車をみると、確かに中古なのかと疑うほど綺麗だ。

「ありがとうございます」

と自然に言葉がでた。

◼️素敵な縁

お店の奥に光が当たって“炎みたい”に色が変わるBROMPTON を見つけた。

やっぱりこの色綺麗だなぁと見惚れていると

「クランク見てください、傷ひとつないでしょ?前のオーナーさん1mmも乗ってなかったみたいなんですよ」

スタッフさんが奥のワークスペースから教えてくれた。

これも縁か。

9年間連れ添ったロードバイクを売ると決めてから歯車が噛み出したかの様な縁。

世界が本当は優しかったと気づかせてくれたのも、背中を押してくれたのも、全部お前だったよなぁ。

最後に旅に送り出してくれたのか?

なんて都合のいい解釈かな?

お前のおかげで色んな経験ができて、色んな人と出会って、凄く素敵な9年間だった。

ほんとだよ?

最後の最後にこのBROMPTON と出会わせてくれて、旅に出させてくれて本当にありがとう。

また歩き出せたよ。

もう大丈夫

「査定が終わりました。9年前のロードバイクとは思えない程しっかり整備されていたので、先にお知らせしてた金額より高く買い取れました。本当に大切に乗られてたんですね」

■ 新たな旅への始まり

手続きが全て終わり、BROMPTON が次のパートナーになった。

お前の先輩とは本当に色々な所に行ったんだよ。

これからはお前と色々な旅に出よう。

「早速、帰りどのルートで帰ろうかな……」

家への帰り道すら旅になる。

■ 新しいパートナーと走る帰り道

夕方の風を切りながら、ゆっくり走る。

流石にロードバイクの様な軽快さはない。

だけど良いんだ。

それが新しい自分のスタイルなんだから。

海でも、街でも、山でも、電車でも。

これからは何処にでも一緒に行こう!

今日から、自分とBROMPTONとの旅が始まる。

■ 次回予告

『第四話 ブロンプトンと小さな旅』

どうぞお楽しみに。

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